終末期りはびりドリッパー

自分らしく生きるため、生きてもらうための知識や経験をドリップ。

終末期の作業療法!そのためにはトータルペインの理解が大切

リハビリは心も身体も元気になっていくイメージが強いですよね。

心身ともに回復していくようなものが一般的なイメージではないかと思います。

 

日本作業療法士協会の定義をみると

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。 

と書かれています。

 

 『その人の目的や価値のある生活行為』=『作業』であり、終末期の分野でもその人らしさの視点を大切にして作業療法を提供することが求められます。 

 

それでは終末期の人と「健康」についてはどうでしょうか。

終末期と健康

亡くなる前段階で『健康』というのはどこか矛盾しているような感じがします。

なので『健康』を調べてみました。

健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)

 

健康は身体だけでなく、心も社会的な側面からも満たされた状態なんですね。

 

終末期だと身体機能的な低下がみられ、回復が難しい状態といえます。

苦痛が伴い、これからどうなるのだろう…といった不安も伴います。

心身ともに満たされない状態となりえます。

 

終末期でも「健康」な状態。

それは苦痛のない状態といえば良いでしょうか。

 

しかし様々な苦痛が生じてくる終末期。

この様々な痛みを概念化したのが、トータルペイン(全人的苦痛)というものです。

 

トータルペインを理解する

終末期の患者さんに対して僕は「その人らしく亡くなる」ためにどう支援するかという部分を強く意識しながら関わっています。

そのためには上記のような苦痛の理解が求められます。

苦痛は4つに分類され、総称して「トータルペイン」と呼ばれています。

 

トータルペインは

  • 身体的苦痛
  • 精神的苦痛
  • 社会的苦痛
  • スピリチュアルペイン(霊的苦痛)

と分類されています。

f:id:abytskrice:20190118223604g:plain

上図はがんの療養と緩和ケア:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

より引用

 

 身体的苦痛

痛みや息苦しさ、日常生活でうまく動けないことなど

精神的苦痛

不安や恐れ、どうにもならないことへの苛立ちなど

社会的苦痛

仕事を辞めざるをえなくなった、金銭的な問題が生じた、遺される家族に対する思いなど

スピリチュアルペイン

生きる意味、死に対する恐怖、なぜ苦しまなければならないのかといったことなど

 

QOLを考えると偏りやすい?

QOLの向上を目指すならこれがいいのではないか」

「この人はこんな趣味を持っているから何とかしてあげたい」

 

作業療法士として様々な介入を模索するかと思います。

QOLを意識すると精神的な苦痛や社会的な苦痛を意識したものを考えるのではないでしょうか。

でも優先されるべき苦痛は身体的苦痛とされています。

がん患者のリハビリテーション−リスク管理とゴール設定

では、

根本原因は身体的な痛みであることが多く、この点を緩和することが最優先である。

と述べられています。

身体的苦痛があれば精神的苦痛や社会的苦痛、スピリチュアルペインに影響を及ぼすと思われます。

終末期にリハビリで行えること

リハビリセラピストが終末期で行えることは、

  1. 苦痛の緩和と安楽の提供
  2. ADLやIADLの拡大可能性の追求
  3. 孤独感や喪失感を抱える患者の精神的な支持
  4. 「生き抜く」ことの支援

*1

とされています。

これまで関わった患者を振り返ると、これらの他に、

  • 他職種との密な連携
  • 家族ケア

といった部分も行える部分であると思います。

終末期の作業療法とはなにか

そして終末期での作業療法とはなにか、というところ。

これは序文につながりますが。

 

『その人の目的や価値のある生活行為』=『作業』を大切に寄り添うこと

『その人らしく亡くなる』ための支援をすること

 

になるのではないでしょうか。

機能障害、活動制限の改善や社会参加等を図り、再びその人らしく生活ができる状態を再獲得することが目標になってきます。

作業療法ってそういうものではないか

終末期だからこうしなくてはいけないというような固定観念はありますが、

急性期の作業療法でも、回復期での作業療法でも、

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。 

の定義のもと、患者さんに作業療法を提供しています。

終末期だからといって違うことはしていない気がします。

内容が少し違うだけ。関わりが少し違うだけ。

 

作業療法、楽しんでいきましょう!

f:id:abytskrice:20190106103015j:plain

たとえ目立たなくても1日1日少しずつ成長することはできる。

2019.1.18追記

 

Uta

*1:宮越浩一,がん患者のリハビリテーション リスク管理とゴール設定,メディカルビュー社