終末期りはびりドリッパー

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終末期と関節拘縮 できることはたくさんある

終末期と関節拘縮。

どんなイメージをしますか?

 

肘が曲がって、胸のあたりにあって、指も握ったまま離れない。

指の間は皮脂や汚れが溜まって匂いもしてしまう。

足も同じく屈曲位の姿勢…。

 

「痛いだろうな」

「なんだか苦しそうだな」

「褥瘡になりやすくて困る」

そんな声が聞こえてきそうです。

でも「拘縮」って防げないものか。

終末期になると拘縮はなってしまうものなのか。

 

今日は関節拘縮について触れてみます。

 拘縮とは

拘縮とは、「皮膚や骨格筋、靭帯、関節包などの関節周囲軟部組織の器質的変化に由来した関節可動域制限」

のことです。

リハビリでは『ROMエクササイズ(関節可動域練習)』などと言われ、関節可動域を維持・拡大を図って行われることが多いです。

関節周囲の軟部組織の伸張性が低下している場合はリハビリによって関節可動域の改善を図ることは可能ですが、拘縮の場合では難しいといわれています。

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なぜ拘縮が起こるのか

脳血管障害による麻痺・痙縮のほか、浮腫や痛みなど、拘縮を発生させる原因は様々ですが、どれも関係してくることが『不動である』ということです。

不動ということは文字通り、動いていないということですね。

 

そして、わずか1週間不動でいることで拘縮は発生するといわれています。*1

 

終末期ではベッド上での生活が主となります。

不動でいる時間は圧倒的に増えますよね。

終末期では拘縮ができる可能性が高いと考えてよさそうです。

 

 

 

 

 

特に拘縮ができやすいのはどこか

同著*2では、

  1. 肩関節外転
  2. 肘関節伸展
  3. 膝関節伸展
  4. 足関節背屈

の4つの部位で入院からの変化をみています。

それによると、すべての関節可動域で減少が認められ、特に肩関節外転で著しく制限をきたす結果となったようです。

 

終末期の寝ている姿になって考えてみる

寝たきりの患者さんの気持ちになってみます。

とりあえず仰向けでずっと寝てみます。

 

上肢の肢位は解剖学的肢位、つまり手のひらが上に向いた状態が普通になるでしょうか。

長時間寝てみてください。きっと動きたくなるはずです。

それを僕たち健常者は無意識に行うことができます。

それが「寝返り」です。

寝返りができないことを考えるだけで精神的に苦しいことが理解できるのではないでしょうか。

 

それでは終末期の方で考えてみます。

終末期の方、多くは高齢者を想像できるかと思いますが円背姿勢であると、「身体が丸まった」姿勢となります。『猫背』ですね。

この姿勢は肩甲骨が外側に開きやすく、上肢は内側方向へ移動されやすいと思います。

更には肩関節内旋方向に…。

※これ実はテレビゲームのしやすい姿勢なんですよね。ゲームしすぎると猫背になりやすいのは上肢の影響もありそうです。

 

内側に移動した腕。寝ているとそこには「身体」があり、自然と肘も屈曲して沿う形になります。

 

「体位交換(変換)」などで横向きとなった場合でも上肢のポジションはやはり内側に落ち着きやすいですね。

 

 

 

上肢に限っての説明ですがケアをしているとどうしても一定の方向でしか動かない場面が生じてくるのではないかと思います。

 

 

 

 

拘縮に対して効果的なリハビリ

持続的なストレッチ

何気なく行なっているであろうROM。

多分、無意識にしている人は反復的にリズムよく動かしているかもしれません。

ですが、エビデンスのある方法は『持続的ストレッチ』をおこなうこと。

1回の実施時間やその頻度、どれぐらいの期間行えばいいのかは報告が様々なようですが30秒程度のストレッチで効果が得られたとの報告があります。

 

また物理療法に関しても検証されている報告もあり、深達性温熱の場合に効果があるとの報告がされています。

 

外側に「解放」する

全ての関節運動をしたいですが、時間的な縛りがあったりするので、限定的になってしまわざるをえない場面があります。

そういった場合には単純に大関節を動かすのも必要かもしれません。

 

ですが、僕が臨床で意識していることは『外側へ解放する』イメージをもつということ。

拘縮のイメージは『内側に丸まる』というものですので、

外側へ大きく広がるにはどんな運動が良いでしょうか。

肩関節の外転・外旋。

肘の伸展。

その人の動かしにくそうな箇所をみながら動かすのがいいですよね。

 

家族を巻き込む。

しかし関節拘縮を防ぐにはリハビリの時間だけでは不十分なことはいえると思います。

24時間のうちの1時間も満たない時間ですから…。

ケアの充実しているところでは看護師や介護士がオムツ交換をする際に、関節運動を数回行うというルールを設けてケアをしているところもあるようです。

 

ですが、なかなか上手く進まないことが多いです。

 

そんなときは家族が重要なキーになるのではないでしょうか。

もし家族が付き添うことが多く、負担が大きくないのであれば、家族の手を借りることも一つなのかなと思います。

 

家族でもできる箇所を一緒に実践し、気になった時にしてもらう。

関節拘縮を防ぐだけでなく、家族が本人に触れる機会や、「触っていいんだ!」という安心感を提供することもできるのではないかと思います。

 

苦しい表情を浮かべる患者さんを前にして、

「触ると息が止まりそうな気がするので怖いです」

と話す方がいましたが、一緒に触れる機会を設けたことで、

「触ってもいいんですね」

と安心した表情で触れていた家族がいました。

触れることでコミュニケーションが成立する効果もあります。

 

www.uta-reha.com

 別にリハ職種が触らなくても、これまで一緒に生活してきた家族が触れることってそれ以上に大切なことではないかと思います。

 

 

拘縮をつくらないためにリハビリができること

拘縮予防のためにリハビリができることは

関節運動だけではありません。

ポジショニングやそれを他職種に伝えること、はたまた家族にお伝えすることもできるのではないかと思います。

 

安楽に休むことができるには何ができると良いかを考えて取り組んでみましょう。

 

いい方法があったらぜひ教えてください。

 

Uta

 

*1:福田卓民 沖田実,エンド・オブ・ライフケアとしての拘縮対策,三輪書店

*2:福田卓民 沖田実,エンド・オブ・ライフケアとしての拘縮対策,三輪書店